さてさて、コーチングの営業の現場で、どのように活かしたのかを書いています。
エピソードその2
チームメンバーの一人の彼(Aさんとしましょう)は、中途入社して入ってきた優秀な営業マン。
放っておいても、自分で何とかして結果を出してくる頼もしい男でした。
来て、まもなく、私のチームで歓迎会をしたときも、早くなじもうと、イッキ飲みをみんなに要求されて、ここは負けじと、思いっきり飲んで、前後不覚になり、タクシーで家まで送って行ったツワモノでした。
意外とこういうとき、自分をさらけ出すと、すぐに仲間に入れたりしますよね。
「あの時は、本当にお世話になり、ありがとうございました」
などと、後に、よく笑い話になったものです。
そんな、Aさんですが・・・
担当先の質にもよるので、一概に彼が悪いわけではないのですが、
チームで結果を出す事に、あまり関心はなく、われ関せずの姿勢。
でも、当時は、チーム間の競争が激しく、結果を出すために、
どうしても、Aさんのコミットが必要でした。
毎月の月末になって、チームの成果をまとめる段階でも、
自分は関係ないと、知らんふりをするような素振り。
その態度に他のチームメンバーは、総スカン状態、
「リーダー、お願いしますよ!
Aさんがあんな態度で関係ない姿勢を取られては、とても、我々はコミットできません。
なんとか、Aさんに言っていただけますか?」
そんな突き上げを若手から、いただくことに。
意を決した私は、彼と話をすることにしました。
でも、その前によくよく考えてみる。
「どうしたら、心からチームに貢献してくれるだろうか?」
「自分がAさんの立場なら、どう言われたら、いいかなあ?いやかなあ?」
と、
自分がその立場で説得されて、一番嫌なのは、
「周りから言われているから・・・」
「上からの要請だから、どうしようもない。だから、なんとかお願い~」
という、立場で話したり、他人のせいにして、話されること。
自分の言葉で、彼のことを本当に思って伝えるとしたら、どんなことを伝えたいか?
たぶん、キャリアという言葉をそんなに知らなかったのですが、
その時は、彼のこれから歩むキャリアを考えた時に、
この周囲との協働することをどう考えたらいいか?
今の姿をずっとやっていたら、彼自身の評価はどうなっていき、
その結果キャリアはどうなっていくか?
そんなことを念頭に何か伝えられればと思い、
たしか、自分のコーチにもコーチングセッションでも取り扱ってもらい、
自分中で整理したうえで、Aさんに対面で話があると声を掛けたのです。
案の上、彼も言われるのを察していたのか、防衛姿勢に!
得意先に行かなくてはいけないので、後で電話くださいと、そっけない。
そして、その後の電話でのやりとりが、大変だったんです!
そのはなしを持ちかけた時点で、
非常に弁の立つAさんからの防御的なマシンガントークが炸裂するのです。笑
当時、彼も相当社内で自信をつけ、成績もよく、社内の状況も見て取れていたので、
私のマネジメントについても、メンバーに対し及び腰とみて、そうとう冷やかに批判的になっていたのでしょう。
その私のことを、
まあ、よくぞここまであげつらえるものだと感心せずにはいられないくらい、ボロクソに言ってくるではありませんか。
自分のことを悪く言われて気持ちいいわけありません。
途中、何度頭にきて、怒りをぶちまけようかと、思ったことでしょう。
そうとう、かっか来てたのは確かです。
でも、その時、私はどこかで、そんな、Aさんの懸命に自分を守ろうとする姿にある種の愛らしさを感じていたのかもしれません。
(ここはある種、コーチングの全体的傾聴の実践ともいえるのですが)
そして、途中から、どんなに言われても、聞き流そうと腹をくくり、ムラムラくる気持ちを何とか抑えながら、ひたすら聞いていました。
(これも、コーチングの自己管理の賜物!)
たぶん、30分以上続いてたと思います。マシンガン攻撃。
でも、人って、言いたいことがあっても、そうそう、続くもんではありません。
とうとう、疲れ果てたのか、ネタが切れたのか、彼のトークが収まり始めたのです。
すこし、空気が冷めた感じに。
そこで、一言彼に
「僕のことは、どうでもいいんだよ。 ただ、伝えたかったのは、
今のような姿勢でいることを続けていって、お前の将来にとって、それがどう影響していくか、それを心配してさ。
この会社で、ずっと、仕事したいんだろ!リーダーとしてマネジメントもしたいんだろ!
数字だけじゃないとこで、5年後、10年後、どうお前が見られていくか、考えてみてはどうだろう?」
そんなことを言ったと思う。
相手は、電話の向こうでポカーンとしている感じ。
「あんなにクソミソけなしたのに、一体、こいつは何を言っているのか?」と、
飲み込めない状態だったのかも。
でも、しばらく、唸っているうちに、どうやら、こちらの想いが伝わったのか、
少しづつ、歩み寄りを見せてきて、自分なりにやってみますとの前向きな回答を得られることに。
ほっと、肩をなでおろした瞬間でした。
実は、この一件、単にその月末のアクションの改善にとどまらなかったのです。
なんと、それ以降の彼の私への態度が100%変わってきたのです。
それまでは、マイペースでいた彼が、今度は私をサポートするようになったのです。
チーム会議などでも、私の口下手な説明をさらに他の若手メンバーに噛み砕いて説明してくれたり、積極的にアイデアを会議で出してくれたりと、それまでとはうって変ったように。
彼は彼なりに、言われたことを受け取って、自分として、チームに何が出来るかを考えたようです。
そして、私のチーム運営をさらに盤石にするために、貢献するようになりました。
彼と私の間で、真の信頼関係が築かれたのです。
それ以降、さらにチームは一つにまとまっていき、非常に明るく元気のいい、お互いに意見を言い合えるチームになっていき、それが、結果的にはエピソードその1にも影響することに。
あの電話での一件、
1対1でガチンコで向き合う、きびしい修羅場ではありましたが、
大いなる変容を彼にも、私にも、そして、チームにも、もたらすことになったのです。
ここで得た学びを今振り返ると、、
どうしても、誰かに厳しい要請やフィードバックをするときは、立場ややらされ感でなく、その人のことを思って、真摯に向き合う。
そして、炎の上に立ち続ける勇気を持つ
という事でしょうか。
私はチームリーダーとして、コーチングを実践することで、得難い経験をすることが出来たし、本当に当時のメンバーそれぞれに感謝したい気持ちでいっぱいです。
単にコーチングのスキルではなく、相手と関わるあり方として、
相手の信じぬくこと、愛してやまないこと。
これなくして、コーチングは現場では活かせない。
そんな、思いや信念を持つようになったのです。
さてさて、
自分として、個人として、信念を持つことは、いいことですが、
時に、それが、執着となってしまっては、行けないのでしょう。
その後は、企画者側に立ち、その真髄ともいえる信念を、伝えることの難しさが、
異動後の私にとっては、困難なことだったのかもしれません。
続く・・・
やはり、ここまで書いてみて、この事例、システムコーチング的には、
二人を相手に行うアライメントコーチングをコーチ側とクライアント側掛け持ちでやってた
とも、いえるかもしれません。
当時、知っていれば、違う手も打てたかも。
ということで、
部下、メンバーとの葛藤や対立をお持ちの方、無料でご相談に乗りますよ!
メッセージお待ちしています!